注記:ゲームチェンジャーが1枚含まれるため、推奨ブラケットの下限は 3 です。
統率者の要点
- 妖艶な泥棒、コルメラは速攻持ちで、タップして青黒赤を生む(インスタント/ソーサリーの唱えにのみ使用可)。死亡時に墓地のインスタント/ソーサリーを1枚手札に戻せるため、1ターン目からの安全な立ち上がりよりも、3〜5ターン目に一気に「唱える→使い切る→戻す」の回転力を作る統率者。
- このデッキでは、コルメラの「速攻+タップで3色」の即効性で呪文のテンポを前倒しし、コピー呪文やコスト軽減と合わせて爆発的なターンを作る。死亡誘発は、打ち消し合戦や除去交換の末に主要ピースを回収し直す保険として強力。
- 相性の良いカード
- モックス・アンバー:コルメラ着地直後から追加のマナを供給し、呪文連打の起点を増やす。
- 伝説の秘宝:コルメラを含む伝説をタップして色マナを補い、長いチェインを支える。
- 嵐窯の芸術家:呪文の唱え/コピーで宝物を量産し、X呪文や二段目以降の呪文へ変換。
- 光輝の魔道士:墓地からの再利用を可能にし、打ち消し耐性と引き換えに「打ち消しに寄せない」回し方を後押し。
主要シナジーと勝ち筋
- プライマリ勝ち筋:コピー連打によるメイジクラフトの秒殺ライン。具体的には、コピー効果を増やしつつ、嵐の伝導者、ラルやオニキス教授のメイジクラフトで全体を削り切る。
- セカンダリ勝ち筋:宝物爆発からの一撃フィニッシュ。嵐窯の芸術家や大量の宝物生成でマナを膨らませ、霰炎の責め苦や大規模呪文(例:アールンドの天啓連打や多元宇宙の突破)でゲームを締める。あるいは船砕きの怪物で盤面をロックに近い状態まで巻き戻す。
- 無限やループ(条件のみ)
- 「双つ身の炎」+練達の魔術師、ナル・メハ+(戦場の他の自軍クリーチャー1体)
- 上記ループ中に嵐の伝導者、ラル(またはオニキス教授)が戦場にいる
- 上記ループ中に無慈悲な略奪者が戦場にいる(=宝物無限でXフィニッシュに接続)
デッキの骨子
- 役割分担
- マナ加速:マナファクト群(秘儀の印鑑、彩色の灯籠、セレスタス、モックス・アンバー、バネ葉の太鼓)+コルメラのタップ能力+嵐窯の芸術家/ビルギの宝物・赤マナ。
- ドロー:考慮、表現の反復、崇高な天啓、海門修復、各種多モード呪文、惑星間系の手札補充(複数の手札入替え呪文)。
- 除去:白鳥の歌、否認、イゼットの魔除け、プリズマリの命令、シェオルドレッドの勅令、サイクロンの裂け目。
- 保護:白鳥の歌、否認、ナーセットの逆転(打ち消し回避や相手呪文の差し戻し)+死亡時回収(コルメラ)。
- 勝ち手段:メイジクラフト大量誘発、霰炎の責め苦の大X、船砕きの怪物ロック、パルン、ニヴ=ミゼットによる連続ドローからの焼き切り。
- エンジン:精神接合器の累積割引、二重視による初手コピー、嵐窯の芸術家の宝物循環、光輝の魔道士の墓地再利用。
- 参考情報:ブラケット:3(アップグレード)
- 理由:ゲームチェンジャーは1枚(サイクロンの裂け目)。エンジン密度と決定力は高いが、cEDH級の高速化ピースやフリー妨害は抑えめで、卓の速度に応じて中高速域のゲームを想定。
立ち回り(序盤→中盤→終盤)
序盤
- 2〜3枚の土地+1枚以上のマナファクト(秘儀の印鑑やモックス・アンバー)を最優先。アンバーはコルメラやビルギなどの伝説とセットで機能するため、伝説密度を加味してキープ判断。
- ゴブリンの電術師や精神接合器でコスト基盤を先に作ると、中盤の呪文連鎖が安定。ビルギは表面で赤マナを増やすか、裏面の手札入替え装置として融通を効かせる。
- 可能なら構えを維持しつつ、表現の反復/考慮で手札整備。除去・打ち消しは1枚残し、相手の高影響パーマネントや早期コンボに備える。
中盤
- コルメラ着地→即タップで3色→コピー呪文やドロー呪文を重ねてテンポ優位を確立。嵐窯の芸術家が絡むと宝物から更なるドロー/コピーに接続しやすい。
- ナーセットの逆転は「相手の強呪文を差し戻しつつコピー」で盤面とカード差を両取りできる。こちらの大呪文に重ねて再利用弾にする動きも強力。
- ナル・メハや二重視でコピー回数を増やす配置を作り、ラル/オニキス教授が揃えば一気に決着圏へ。
終盤
- 霰炎の責め苦の着地点を作るターン。宝物や赤マナの伸びを見ながらXを最大化。サイクロンの裂け目の過負荷で全員を流してから「X」「追加ターン」で押し切るのが安全。
- 船砕きの怪物+軽量アーティファクトを往復させて相手の盤面と手札のテンポを徹底的に崩し、除去不能級の優位を築くプランも有効。
- 多元宇宙の突破で墓地の大型(シェオルドレッド、パルン)を含めて展開し、以後の呪文1枚1枚が勝ちに直結する盤面を作る。
代表的なターン例
- 先手:T2 秘儀の印鑑 → T3 妖艶な泥棒、コルメラ(タップで3色)+大勝ち → T4 嵐窯の芸術家+表現の反復+コピー呪文で宝物加速→ 霰炎の責め苦 X=多め
- 後手:T2 ゴブリンの電術師 → T3 嵐の伝導者、ラル(構え維持) → T4 コルメラ着地→ナーセットの逆転+電気複製でコピー連打、メイジクラフトで削り切り
マリガン指針
- 2〜3土地+マナファクト1枚(またはビルギ/嵐窯の芸術家)+キャントリップ(考慮など)を基準にキープ。
- 伝説不在時のモックス・アンバー単独は弱い。逆に伝説2枚の見込みがあるなら強い。
- 対高速卓は、白鳥の歌/否認のような初動ストッパーを優先して残す。ティボルトの計略は相手依存だが、コンボ卓には有効なことが多い。
- 双つ身の炎やナル・メハが初手に揃っていても、他のクリーチャーがいないと着火しにくい。序盤の盤面要員が確保できる手札を。
相性とメタ調整
- 速いコンボ卓:打ち消しを数枚増量し、置物対策の即応性を高める。候補は呪文貫き、紅蓮破/青霊破、フラスターストーム系の軽量妨害。
- 手札補充が多い卓:黙示録、シェオルドレッドのダメージが刺さりやすい。さらに抑制するなら覆いを割く者、ナーセットや概念泥棒の投入で手札増を封じる。
- サーチ主体の卓:敵対工作員の採用でテンポとカード差を同時に奪う。
- 置物ロック系:プリズマリの命令やサイクロンの裂け目にアクセスしやすい構えを維持。打ち消し温存より「まとめて流す」判断が有利になりやすい。
キーカード解説(5〜8枚)
- 嵐窯の芸術家:唱える/コピーするたびに宝物を生む本体エンジン。マナを宝物に変換することで、X呪文や追加ターンに橋渡し。
- 練達の魔術師、ナル・メハ:瞬速+着地で呪文をコピー。後述の「双つ身の炎」ループの要。単体でもコピー値が高い。
- 双つ身の炎:対象クリーチャーのコピー・トークンを一時的に作成。ナル・メハと組むとコピー誘発が連鎖し、メイジクラフトや死亡誘発を無限級に伸ばす。
- 嵐の伝導者、ラル:呪文の「唱える/コピー」で1点ダメージ。コピー連打と組むとフィニッシャーに化ける。
- ナーセットの逆転:相手の呪文を手札に戻しつつコピー。自軍の大呪文に重ねて「温存+即効性」の両取りにも。
- 精神接合器:ターンが進むほど呪文の総コストを圧縮。コピーや再唱と相性抜群で、1ターンに7〜8枚の呪文を扱う起点になる。
- パルン、ニヴ=ミゼット:ドローがダメージに直結。長いターンの手札回転で盤面を制圧する後半の柱。
- サイクロンの裂け目:過負荷で相手だけを全面退場させ、こちらのチェインから必殺の一撃に接続する切り札。
失敗例と回避策
- コスト圧縮がないのに無理にチェインを開始してガス欠:精神接合器や電術師、ビルギ、嵐窯の芸術家のいずれかを立ててから開始。
- 打ち消し卓に対し、光輝の魔道士を先に出してしまい自軍の打ち消しが機能しなくなる:相手の構成を見てから、カウンター不要の局面で展開。
- テンポ勝負での「ティボルトの計略」誤用:自分の核呪文に打たれると大惨事。基本は相手の大型に当てる、またはこちらのコピー呪文に当てて期待値を計算した上で使用。
- モックス・アンバーが働かない:伝説密度を意識。コルメラ/ビルギ/ラル/テゼレットなど、事前に用意してから展開。
- 早すぎるサイクロンの裂け目過負荷:自分のチェイン手段まで一時的に遅れる。勝ちに直結するターン、または相手の勝ちを阻止する局面で使う。
ルール備忘
- コルメラのタップ・マナは「インスタント/ソーサリーの唱え」にのみ使用可能。起動型能力や装備、能力支払いには使えない。
- コルメラの死亡誘発は「対象を取る」。事前に回収したい呪文を墓地に落としておくと確実。例えば先にマラキールの再誕を使っておけば、後でコルメラが死んだ際にそれを拾い直せる。
- 双つ身の炎+練達の魔術師、ナル・メハ:双つ身の炎を自軍の別クリーチャーに唱え、対応してナル・メハを瞬速で出す。ナル・メハのETBで双つ身の炎をコピーし、対象をナル・メハに変更。トークンのナル・メハが出る→ETBで再び双つ身の炎をコピー…のループ。伝説ルールで1体は墓地に落ちるが、誘発は発生し続けるため、メイジクラフトや「無慈悲な略奪者」で結果的に無限級のアドバンテージが出る。
- 「コピー」は「唱える」とは別物。精神接合器の割引は「唱えた」場合のみ適用、ラル/オニキス教授のメイジクラフトは「唱える/コピー」の両方で誘発する。
- ナーセットの逆転は対象の呪文を手札に戻した上でコピーを生成。こちらの呪文に撃つと「温存しつつ効果だけ通す」ができる。
置換・アップグレード案
- 安定性向上(サーチ密度)
- 吸血の教示者、神秘の教示者、直観のいずれかを追加し、双つ身の炎やキーカードへのアクセスを厚くする。
- チェイン強化(コピーとドロー)
- 感電の反復や二重詠唱系のコピー呪文を増量。低コストのキャントリップ(渦まく知識、定業など)を補強すると、ラル/オニキス教授の射出速度が上がる。
- マナ基盤の底上げ
- 伝国の玉璽や金属モックスなどの初動加速を検討。宝物起点が多いため、テーブル速度が高い環境では初速の底上げが有効。
- 受けの質を向上
- 偏向はたき、意志の力のようなタダ〜軽量妨害を追加すると、コピー・チェインを通しやすくなる。
- メタに応じた差し替え
- 手札増が多い環境は覆いを割く者、ナーセット/概念泥棒、サーチ卓には敵対工作員を採用。重い呪文が多い卓には現状のティボルトの計略を維持、軽量卓にはより能動的な打ち消しへ入替。
環境や卓の速度に合わせてこれらを数枚加えると、デッキはブラケット4寄りの決定力に近づく。一方で現状構成の「回しやすさ」とのバランスも取って調整したい。
最後に一言
コルメラは「速攻でマナ→唱えて使い切る→死んだら拾い直す」という、呪文デッキに欲しい三拍子を1枚でこなす統率者。コピー呪文とメイジクラフトの組み合わせを丁寧に積み上げ、1ターンの爆発でテーブルを押し切ろう。盤面と手札の「準備」が整ったときにだけ全力を出す、その見極めが勝率を大きく左右する。
No responses yet